魔界の華は夜に咲く
もくもくと黒煙が空へと舞い上がる。
セヴィオの周りの敵たちはバサバサと倒れていった。

「・・・ふう・・」


セヴィオの発火していた体が徐々に収まってゆく。


「あぁ・・っセヴィオ!!セヴィオ!!」


ぼろぼろと涙を零しながらセンジュはセヴィオに駆け寄り手を握った。


「熱っ」

「馬鹿、まだ熱は冷めてねえんだ。寄るな」

「あ、そうなんだ・・ハハ・・ごめん」


出来事が信じられずつい笑いがこぼれたセンジュだ。
辺りを囲んでいた敵達は倒れていたが今だに燃えていた。
恐怖を感じたセンジュはそれを視界に入れない様にセヴィオだけに視線を合わせた。


「ハハ・・よか・・死んだかと・・ぐすっ」


セヴィオはセンジュの姿に驚きを隠せない。


「あんた・・なんでここに」

「えっとその・・パパにお願いして」

「は!?」



目を見開くとセンジュの指差す先に魔王を見つけ、すぐにセヴィオはひれ伏した。
見られてはまずい状況は一目瞭然だ。


_ああ。終わったわ。


「申し訳ございません!」

「・・ん?何が?」


魔王は嬉し気にニコニコしている。機嫌は良い様だ。


「俺が留守中の間を狙われ・・このような失態に」

「まあ、さっき命をかけて償おうとしてたし、いいんじゃない?」

「ベリオルロス・・様」


_こんな失態じゃ許されるはず無いのに、何故だ?何かがいつもと違う・・。


地面を見つめながらセヴィオは不思議に感じていた。
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