魔界の華は夜に咲く
「ああそうだ。セヴィオ、今日はこのまま自分の屋敷で療養するといい。割と大けがしてるだろうし」

「は・・。ありがたきお言葉」

「うん、たまには部下の仕事も観察しないとね。今日はセンジュに教わったよ。ありがとう」

「パパ・・」


父を見上げると、満足そうに微笑んでいる。
というか、何か企んでいる笑みだ。


「じゃ、私は城に帰るから。センジュ、そうだな。お前はセヴィオの屋敷に泊まるといい」


「・・・・は!?」



_それはちょっと嫌なんだけど!?なんでそうなるの!?



「セヴィオの事少しは気にしている様だし。優しく手当でもしてあげれば?」

「え?パパがそんな事言っていいの!男子の家にお泊りって事だよ!?」

「え?いいよ。だってセヴィオは婿候補の1人だしね」

「ええええ!?」

「いやむしろ仲良くなってよ」



_その件忘れてた!というかどこかに置いてきたつもりだったのに!!そんな簡単に男の家に行かせる父親いないよ!?普通は逆じゃない!?



「謹んで、お受けいたします。明日には姫は城へ」

「うん、よろしく。セヴィオ君。じゃねっ」


センジュの気持ちは届かぬまま、父は一瞬で消え去った。


「え、ちょ・・ま・・パパぁあああっ!?」


センジュの声は虚しく空へと消えた。

< 58 / 100 >

この作品をシェア

pagetop