魔界の華は夜に咲く
セヴィオは傷を負ったまま、残った部下たちに後処理を命じた。


「セヴィオ様、生き残りは一人もおりません」


「・・そうか。悪かったな。俺が全部燃やしちまった。まあ、幸い魔王がその場で見られていた。報告書だけでいいだろう」


「御意。・・セヴィオ様の力が無ければ我々は生きてはいられませんでした。本当に申し訳ございませんでした」


「・・それは俺も同じだ。こいつに助けられた。敵からも、あの方からもな」


セヴィオは部下達にセンジュを見せた。


「我が魔王の愛娘だ。今日は屋敷に滞在する。今後の警備も怠るな」


「この方が・・御意!!」


部下達は負傷しているにも関わらず生き生きとした目つきで仕事に向かった。


「セヴィオ?」


「あんた魔界の王女様だろ。そりゃ皆見ただけでテンション上がるだろ、普通」


「は、はあ・・」


_そんな事言われても、今だに自覚ないしなぁ。



「良い加減あんたも認めろ自分の存在を。あれほどの方がお前の事になったらあの様子・・尋常じゃねえぞ」


「そうなの?」


「ああ。普通、あの状況は俺はその場で殺されてもおかしくない」


「あ・・」



_なんか・・今ならわかるかも。目つきの怖いパパは人が変わったみたいに威圧感があるよね。


エレヴォスとのやり取りで悟ったセンジュ。


「でも、良かったよ。結果的にセヴィオが無事で」


「ふん・・まあ、な。感謝しとく」


照れくさそうにセヴィオは顔を背けた。

耳は真っ赤だった。
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