魔界の華は夜に咲く
屋敷に着くとリビングに通された。
落ち着いた朱色を基調とした部屋に、ネイビーブルーの大理石でできたテーブルや椅子が並び、摘みたての花々が花瓶に生けてある。
大窓が並んでいる。清掃が行き届いているのだろう。ホコリひとつ見当たらない。清潔感のある空間が広がっている。


「すご・・大豪邸。」


「小さいほうだ。他の3人はもっとすげえ」


「へえ・・」



_四大魔将って本当に凄い位なんだな。魔王の次に偉いんだっけ。



侍女が救急箱を持ってきた。


「セヴィオ様、こちらを」


「ああそうだ、あんたがやってくれるんだろ?」


「え・・・下手だけど、いいの?」


「下手は嫌だけどな。せっかくだし、やれよ」


「もお仕方ないなぁ・・下手だけどやるよ」

ムッとした態度のセンジュを見て思わずセヴィオは笑いを堪える。


「一時間後にはご夕食が出来上がりますので、また近くなりましたらお呼びいたします」


「ああ、わかった」



侍女は微笑みながら部屋を後にした。

2人のやりとりがほほえましく思えたのだろう。

< 61 / 289 >

この作品をシェア

pagetop