魔界の華は夜に咲く
「な、なな」

突然の行動にセンジュは顔を真っ赤に染めた。


「唇じゃなければ、いいだろ?」


「はい!?どうしてそうなるの?ちょっ、、」


ぎゅっ

とセヴィオはセンジュの両手を握り固定した。


「あんたには、これくらいがちょうどいいんだろーな。慣れてなさそうだし」


「ちょ・・」


セヴィオは唇をセンジュの額に寄せた。

ドキッ

「こことか」


鼻先にも。

ドキッ


「こことか」


耳のすぐ近くにも。

センジュは恥ずかしさの余りにセヴィオを跳ねのけようと体を動かしたが、びくともしない。


「やだ・・ってばっ」


「本当に?」


ビクン


セヴィオの声が耳元で聞こえた時、体が跳ねた。

じわじわと心の奥の何かが突き動いた。

初めての感覚だ。
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