魔界の華は夜に咲く
セヴィオは侍女の手を掴むと近くに引き寄せた。

ジッと侍女を見つめる。


「セヴィオ・・様」

期待した侍女の頬が喜びで紅く染まったが、
セヴィオの口からため息が零れた。


「悪い。やめとくわ」

「さ、さようでございますか」


屋敷にも外にも体だけの関係を持つ者はいた。
だが、全くしたいと思わなかった。
今は逆に吐き気すら催す。


「失礼いたします」


「ああ」


_マジ・・かよ。俺・・・。青春してんのかよ。クソが。


「めんどくせ、かっこわりぃ」
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