魔界の華は夜に咲く
眠れぬまま次の日を迎えた。

カチャカチャと静かにナイフとフォークの音だけが部屋に響いた。

セヴィオもセンジュも無言で朝食をとった。

侍女達は内心ヒヤヒヤしている。

昨日まで和気あいあいと傷の手当てをしていた2人が暗いオーラを醸し出しているのだ。

ベテランの侍女がいつも通りに気を使う。


「パンのおかわりはいかがですか?」


「いい」


「姫様は?」


「・・いいです」


「かしこまりました」



グラスの水を飲み干したセヴィオが立ちあがった。


「支度をしたら城へ向かう。準備しておけ」


「かしこまりました」


「センジュも、いいな?」


「あ、うん」


セヴィオの声はいつも通りだった。

センジュの返事も。

しかしその他の会話は一切ない。

侍女達にしてみれば違和感満載だった。



_絶対、何かあったわよね。

_ええ、あったわね。


侍女達は以心伝心の様に目だけで会話した。


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