魔界の華は夜に咲く
城に着くと魔王(パパ)が出迎えてくれた。隣にはフォルノスが居てしっかりセンジュを睨んでいる。
恒例になった魔王のハグ攻撃を早速受けた。

「センジュ~~!お帰り~!どうだった!?セヴィオの屋敷は!親睦は深まったかい!?」

「パパ・・そろそろ、暑苦しいんだけど・・おぉ」


ぎゅううっ
加減を覚えたとはいえその力の強さは愛情を示している。


「ごめんごめん。ついね」


_いつか圧死しそうだよ、パパ。


センジュを引き渡したセヴィオは魔王の前に跪いた。


「お役目完了致しました。それと、こちらが昨日の件の報告書です」

「ん、ご苦労様。フォルノス読んでくれ」

「は」


笑顔の魔王の前でフォルノスがセヴィオから報告書を受け取った。


「・・薬か。だろうな。本来なら昨日の様な手こずりはしまい」

「ああ、間違いなく・・生け捕りは出来ず申し訳ありません。魔王様」

「ん、まあ昨日の一件があったという事は、もう一回くらいは何処かであるだろう。
様子を見る事にしようか。全領土の警備を怠らないようにね」

「かしこまりました」

「御意」


フォルノスとセヴィオは魔王に深く敬礼した。


「では、俺は戻ります」

立ち上がったセヴィオにセンジュはお礼を告げた。
魔王には内緒だが、フォルノスから救ってくれた事や宿泊の件だ。


「セヴィオ・・」

「ん?」


魔王とフォルノスが見ている。
様子を伺っている。昨日の今日だ。
その視線は多少気になったがセンジュは勇気を振り絞った。


「昨日は美味しいお食事ありがとう。あと、ケガお大事にね」

「ああ、あんたならいつでも歓迎する。じゃ、また」


嬉しさを隠さず耳を真っ赤に染めながらセヴィオは自分の屋敷へと戻って行った。
その様子を見ていた魔王はニヤニヤと不敵に笑っている。楽しそうだ。


「センジュ、セヴィオはいいヤツだったか?仲良くなれたかい?」

「うん・・喧嘩もしちゃったんだけど・・セヴィオは私なんかよりもずっと大人だった・・私も見習わないと」

「そうか。センジュがそう言ってくれてパパは嬉しいよ」

「セヴィオはパパの役に立つ人だよ。だから・・」

「ああ、わかってるよ。一緒に成長を見守ろう。約束する。それにしても・・
そんな事が言えるなんてセンジュは流石パパの娘だなああ」


スリスリスリスリッ
頬が擦り切れそうな程すりすりされた。


「いたたたっ、パパ!それは嫌っ!もう年頃だからね私!」

「ええ~そんな~センジュとのスキンシップが毎日の楽しみなのに~」

「勝手にそんなルーティン作らないでっ」
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