魔界の華は夜に咲く
一口頬張ると口の中でケーキがとろける。


「うわ・・美味しい・・」


初めて食べる触感に感動していると、アルヴァンが嬉しそうに微笑んだ。


「良かった。俺も一人じゃ甘いものは食べれないから」


元々甘党という訳ではない。

センジュを喜ばせたい一心だった。


「女性とは一緒に来られないんですか?」


「ああ、たまに娘を連れてくるかな」


「娘!?」



_え!?ここ、子持ちですか!?



「フフ、意外?」


「そりゃ・・驚きますよ」


「まだ幼いからな。今日は屋敷に預けてる」


「奥さんがいるって事ですよね!?」


_奥さんがいるのに私の婿候補ってあり!?お父さんの命令だから断れないんじゃ・・。



「まあ、居る事はいるけどな」


「居るんですか!じゃあなんで・・」


「まあ、それはおいおい話そうかな。食べ終わったらな。今は食べる事を楽しもう」



_気になって食べるどころじゃないですよぉ。



センジュは無理やりに詰め込んだ。


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