翔んでアルミナリア
プロローグ ——あわいの季——
「浴衣じゃないんだ」
うちに迎えにきた蓮くんは、ドアを開けたわたしを見るなり、不服げに眉をひそめた。
「だって地元のお祭りだし…」
つい言い訳がましくなってしまう。
「こないだ浴衣着て出かけてるの見かけたよ」
「あれは隣の市の花火大会に友達と行ったから」
「俺とじゃ浴衣着てくれないわけ?」
「そういうわけじゃ…」
背中を冷や汗がつたう。
こうして頭が回って弁が立つ。そして迂遠な物言いを嫌うのが、賀月蓮という少年の性質だ。
「まあいいや、行こうか」
ひょいと彼がわたしの腕をとる。
うちに迎えにきた蓮くんは、ドアを開けたわたしを見るなり、不服げに眉をひそめた。
「だって地元のお祭りだし…」
つい言い訳がましくなってしまう。
「こないだ浴衣着て出かけてるの見かけたよ」
「あれは隣の市の花火大会に友達と行ったから」
「俺とじゃ浴衣着てくれないわけ?」
「そういうわけじゃ…」
背中を冷や汗がつたう。
こうして頭が回って弁が立つ。そして迂遠な物言いを嫌うのが、賀月蓮という少年の性質だ。
「まあいいや、行こうか」
ひょいと彼がわたしの腕をとる。
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