翔んでアルミナリア
いくらも行かないうちに、洞窟の幅がぽっかり広がったのが分かった。左右の岩壁まで光が行き届かない。

「ここで待ちです。月の光を見やすいように、明かりは消したほうがいいと思います」
エレオノア姫が託宣を告げる巫女のようにおごそかに口にする。

そんな…内心の悲鳴を懸命に噛み殺す。

ならば背嚢に戻しましょうと、セレマイヤが皇帝から燐光石を受けとる。
めいめいが腰を落ち着けたところで、燐光石がしまわれると、周囲はたちまち闇に包まれた。

岩壁を背に腰を下ろし、隣の蓮くんとぴったり肩を寄せて手を繋ぐ。
この旅で、精神的肉体的に辛いことは多々あったけど、暗闇の中でただ待つのはその中でもかなりの苦行だった。

目を開けても閉じても映るのは黒い世界だ。
なんとか考え事に意識を集中しようと努める。

日と月の巡り、は天体の光の角度…その他になにか意味はないんだろうか。
わたしと蓮くんが巡りあったこと、だけではない気がする。気がする、じゃただの当て推量か。
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