翔んでアルミナリア
そしてたぶん誰もが驚いたのは、光がくっきりと反射し洞窟の奥へ伸びていることだった。

「光が道を! どうやって」
口走りながら駆け寄っている影はセレマイヤだろう。若年なぶん、エストライヘル師より動作が俊敏だ。
「岩壁のここだけが、導力で鏡のように磨きあげてあります。光を吸収し増幅して反射するように」

中学の理科で光の反射の法則を習ったっけと、一瞬そんなことが頭をよぎった。

鏡面に反射した月の光は、レーザーポインターの光線のようにくっきりと浮かび上がっている。

「光を追いかけて進みましょう。月が少しでも角度を変えれば、もう光は届かない。おそらく数分しか持ちません」
エレオノア姫も焦りからか若年早口だ。

どれだけハードルを上げてくるんだろう。こんな隠し場所を考え出し仕掛けを施したカリンガ王家のご先祖様に、驚くやら呆れるやらだった。

月の光を見る妨げにはならないと判断し、セレマイヤがふたたび燐光石を取り出した。
皇帝がそれを手に先頭をゆく。
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