翔んでアルミナリア
なんて往生際の悪いやつだ。
クルシュタルを呪いながら、洞窟が崩落する恐怖に、まるで生きた心地がしなかった。

どのくらいの時間、クルシュタルの悪あがきが続いたのかは分からないけど、恐ろしく長く感じた。

ようやく地響きと轟音がやみ空気の振動もおさまったところで、頭を抱えこんでいた腕を離して、おそるおそる顔を上げる。

弾切れか、はたまたあれだけ盲弾(めくらだま)を撃ったのだ、クルシュタル自身の上に岩盤が落ちてきた可能性もある。
だとしたら自業自得というしかない。

…マリス王子も他のみんなも無事なはずだ。
わたしたちより敵から離れた地点にいるし、幸い隧道は崩落を持ちこたえている。

わたしたちの勝利は確実になったんだ…とうつ伏せのままあれこれ考えていたら、土ぼこりで鼻がむずむずしてきた。

そして全身に、ずっしりした重さを感じていた。蓮くんが覆いかぶさっているからだ。

「蓮くん、さすがにもうだいじょうぶじゃない?」

返事のかわりに、食いしばった歯のあいだから漏れるようなうめき声が聞こえる。
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