翔んでアルミナリア
ベッドから飛び出そうとして、いきなり動くと危ないと両親に慌てて止められる。

振りほどこうと一騒動繰り広げていると、ドアの向こうでも似たような騒がしい音が聞こえてきた。
「蓮、待って、動いちゃダメよ」

スライド式のドアが勢いよく開いた。
パジャマ姿で髪が乱れた蓮くんが開けたドアにもたれるように姿を現し、その後ろにはとりすがるように蓮くんのお母さんが見える。

「蓮くんっ」
「実花子!」
「よかった、よかったー」

互いに駆けよって抱き合う。両親には申し訳ないけど、まさに感動の再会だった。
ひとしきり泣いたり笑ったり、ひたすらもろもろの感情を解放する。

互いの親と、騒ぎを聞きつけてやってきた病院関係者の、呆気にとられた表情は一様によく似ていた。

ようやく感情の昂りが一段落したところで、わたしの両親と蓮くんのお母さん(お父さんはやむなく出社していて、その後すぐに駆けつけてきた)から事情を聞くことになった。
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