翔んでアルミナリア
わたしと蓮くんが意識を失っていたのは、なんとたったの二日間ということだった。
二ヶ月近くアルミナリアで過ごしていたはずなのに、現実世界ではそれだけの時間しか流れてなかったなんて、狐につままれた気分的だった。

あの日、櫓祭りでは異臭騒ぎがあったそうだ。
犯人は見つかっていないけど、何者かが櫓の内部におそらく塩素を含んだプラスチックを仕込んでいたのだ。

刺激臭に、何人かが目や鼻の痛みや胸のむかつきを訴え、すぐに櫓の炎は消火器の噴射で鎮火された。

その騒動のさなかで、わたしと蓮くんだけが出店の物陰で意識を失って倒れている状態で発見され、病室に救急搬送されたという次第だった。
あれだけ命懸けの冒険をしてきた身としては、正直たいした出来事でもないように思えてしまった。

ともあれその後、わたしたちは病院で各種検査を受けることになった。
血液検査、レントゲン、心電図、CTスキャンとフルコースを消化すると、さすがに疲労感に襲われた。

結果、二人とも異常なしとのお墨付きをもらい、翌日には晴れて退院することができた。
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