翔んでアルミナリア
この超絶美女はいったい誰だろう。日本語通じるかな。どうして一人で泣いているのか———あらゆる疑問と思考が頭を駆けめぐってしまい、口も体も止まったままだ。
驚きと戸惑いは、彼女も同じようだった。
瞳を見開き、わたしたちを交互に見つめる視線が、蓮くんに留まった。
「マリス…」
たしかにそうつぶやいたように聞こえた。
人の名前? 誰だろう?
わたしたちの奇妙な邂逅のひとときは、すぐに打ち破られた。
数人のどやどやという足音と、ガチャガチャと金属が擦れ合うような耳障りな音、「姫様!」という男たちの切迫した声が近づいてきたのだ。
やはりこのうら若き美女はお姫様なのか。妙なところで得心してしまう。
なのだけど、聞こえてくるのが耳に馴染んだ日本語であることに、違和感も覚える。
「姫様! ご無事ですか?」
叫びながら、石垣を飛び越え石畳を駆け抜けて現れたのは、映画に出てくるような西洋の兵士の一団だった。甲冑に鉄兜を身につけ、手には剣やら槍やら盾やら、物騒なものを携えている。世界史で習った十字軍とかのイメージに近い。
驚きと戸惑いは、彼女も同じようだった。
瞳を見開き、わたしたちを交互に見つめる視線が、蓮くんに留まった。
「マリス…」
たしかにそうつぶやいたように聞こえた。
人の名前? 誰だろう?
わたしたちの奇妙な邂逅のひとときは、すぐに打ち破られた。
数人のどやどやという足音と、ガチャガチャと金属が擦れ合うような耳障りな音、「姫様!」という男たちの切迫した声が近づいてきたのだ。
やはりこのうら若き美女はお姫様なのか。妙なところで得心してしまう。
なのだけど、聞こえてくるのが耳に馴染んだ日本語であることに、違和感も覚える。
「姫様! ご無事ですか?」
叫びながら、石垣を飛び越え石畳を駆け抜けて現れたのは、映画に出てくるような西洋の兵士の一団だった。甲冑に鉄兜を身につけ、手には剣やら槍やら盾やら、物騒なものを携えている。世界史で習った十字軍とかのイメージに近い。