翔んでアルミナリア
姫様と呼ばれている美女は、「え、えぇ…」と戸惑ったように返事をしながら立ち上がる。

「おのれ、何やつ」
「どこから忍び込んだ」

兵士たちは姫様を守るように、わたしたちと美姫の間に隊列を組むように展開する。
そう詰め寄られても、こちらが説明してほしい状況なのだ。それにしても、この騎士たちもどこか西洋的な顔立ちをしている。みんな似たような顔に見えるのは気のせいか…

蓮くんと手を繋いだままなすすべもなく突っ立っていると、団長と思しき一人が「捕らえろ!」と叫んだ。
わたしたちは取り囲まれ、冗談だと思いたかったけど縄で後ろ手に縛り上げられ、目隠しまでされて引き立てられた。

「とっとと歩け」
ぐいと縄を引かれて思わずよろめく。

「女性と子どもに手荒な真似はしないで」
どこか痛切な響きを帯びた女性の声が、「姫様、お下がりください」という男たちの言葉にかき消されていった。
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