翔んでアルミナリア
出足からご機嫌ななめな蓮くんとともに、エレベーターでエントランス階に降り、マンションを出て歩き始める。
こうして二人で並んで歩くのも思えば久しぶりだ。

「また背のびたね」
いつのまにか、三歳年下の彼を、見上げるようになってしまった。

「ん…」と気のない反応ながら「170センチは超えたからな。遺伝的にいえば180くらいになるんじゃないかな。父親も母親も背が高いほうだし」

論理的な表現が好きなのも、幼い頃から変わらない。
こうして何もかも抜かされていくのかな。そもそも二人でお祭りに行くことになったのだって———

遠くからかすかに祭囃子が聞えてくる。

わたし日下実花子(くさかみかこ)、高校二年生十七歳と、三歳年下の賀月蓮(かづきれん)くんは、いわゆる幼なじみという間柄だ。
わたしと蓮くんは、物心ついた頃からこの地方都市の同じ分譲マンションに住んでいる。ちなみに蓮くんが七階でうちが五階だ。
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