翔んでアルミナリア
現実認否。
それができたら、どれほどよかったか。
頬をつねってこの悪夢から覚めるなら、百万回でもつねるだろう。

いったい自分が何をしでかして、見知らぬ場所で罪人のように牢屋に入れられているのか…

冷たい石の壁と鉄格子の中に閉じ込められて、鬱々と思考の泥沼にはまりこんでいる。
何もかも訳が分からなくて、気が狂いそうだ。いっそ狂ったほうが楽かもしれない。

わたしと蓮くんが放り込まれたのは、古風ないわゆる牢屋だった。石の壁に囲まれ、通路に面して鉄格子で仕切られてる。プライバシーは当然ゼロだ。
中には硬い木のベンチが一つきり。

そこにぐったりと蓮くんと並んで座り込んでいる。

庭園で捕らえられたわたしたちは、目隠しをされたまま引き立てられた。
途中何度か立ったままぐるぐる方向を変えられたり、階段を上ったり降りたりさせられた(目隠しをされているので、何度も転びそうになった)。

目隠しといい、回り道といい、おそらくは建物の内部構造を探らせないためだろうけど、わたしたちは侵入者じゃない。ただの子どもだ。どうすればそれを証明できるのか…

ここまで厳重な警備を敷かれている、ここは一体どこなんだろう…?
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