翔んでアルミナリア
もはや蓮くんの設定なのか、現実なのか、頭の中が混乱してきた。

皺の広がった顔に鷲鼻、と西洋人の老人を思わせる外貌だ。
窪んだ眼窩(がんか)の奥からひらめく眼差しは、皇帝の鋭く威圧感のある眼光とはまた異なる。エストライヘル師の視線はまるでわたしたちをスキャンしているようなのだ。
そして、わたしの直感はほぼ当たっていた。

「昨日、その者らの所持品を精査しました。また今身につけている衣服、明らかにこの世界の物とは組成が異なりまする」
低く(しわが)れた声だが、よく通る。

なんでそんなことが分かるんだろう…いや、その通りなんだけど。これが大導師の力の一片なのか。

「そもそも、不埒者が侵入を試みたとて、厳重に警備を敷かれた後宮の奥深くまで入り込める道理がございませぬ。異界から時空を超えて迷い込んだのでありましょう」

「異界からの招かれざる客、か」
リュシウス帝が思案を巡らせるように首をひねり、あらためてわたしたちに交互に視線を走らせる。
「名を問おう」

「蓮です」
蓮くんが短く答えた。

「実花子です」
蓮くんを倣って答える。

「レンとミカコ、か」
リュシウス帝が確かめるように口にする。

ゲーム世界はそういえば、登録したキャラクターの名前でプレイするんだよな。
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