翔んでアルミナリア
わたしにとって蓮くんは、どうしても弟みたいな存在でしかないから。
だから———わたしは少しずつ蓮くんを避けるようになってしまった。

とはいえ同じマンションに住んでいるから、どうしても顔を合わせる機会は出てくる。
通っている学校は違うけれど、通学時間がかぶることは多かった。週に一、二回はかち合って、駅までの道を雑談しながら一緒に歩く、そんな関係が続いている。

わたしは一駅先にある公立校に通っていて、蓮くんは逆方向に電車を乗り継いで難関校として名をはせている男子校に通っている。
彼が通うのが共学だったらよかったかもしれない、とたまに思う。仲がいい同級生の女の子でもできれば、同じマンションの年上の幼なじみのことも頭から消えるのではないだろうか。

現実は蓮くんは中高一貫の男子校で、わたしと試験や部活の話をしながら駅へと向かう日々だ。

「夏休みの数学の課題がゆーうつ」とわたしがぼやくと、「そんなに多いの?」と蓮くん。
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