翔んでアルミナリア
その後、いくつか年齢、出身地など身上についての質問が投げられた。
そのたび、蓮くん、わたしの順に正直に返事をした。

質問が途切れたタイミングで、蓮くんが簡単にこの世界に迷い込むようになった経緯について、自分なりの推論を述べた。神に近づく祭りの場で、どこか違うところに行きたいと願ってしまった、とやや内容は曲げられていたけれど。

「この世界のことは知っていたのか?」
リュシウス帝の追求が続く。

「…伝説として聞いたことはありました。でもまさか、実在するとは思っていませんでした」
蓮くんの返事はある意味真実だ。

「エストライヘルよ、どう感じる? この子らの話」
リュシウス帝がエストライヘル師に視線を移す。

「嘘はついておりませぬ」
迷わず断じた。

「ほう」
テーブルに肘をついて両手の指を組み、皇帝がふたたびこちらに向き直る。
ついとその視線を兵士にずらし、「縄をほどけ」と命じた。

陛下! と声をあげたのは、ゲッペル宰相だ。
「危険です。こやつらは異界からの闖入者。いかな術を弄するか…」

「その心配はござりませぬ。ただの子どもです」

エストライヘル師に内心喝采を送った。その調子で、わたしたちを元の世界に戻してほしい。
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