翔んでアルミナリア
昨日———

皇帝陛下自らによる査問の末に身の振りが決まったわたしたちは、別の部屋に連れて行かれた。
さきほどの部屋よりは狭く、椅子が二つ並べられ、目の前には博士や導師数人が座っていて、学校の面談を連想してしまった。

それからほぼ一日かけて、わたしたちは詳しい聴取を受けた。
彼らの主な関心は、わたしたちが来た世界のことに集中しているようだった。

ここでも蓮くんは如才なく、国家の成り立ちや社会制度について、立法・司法・行政といった言葉を交えて説明してみせた。
最初は年かさのわたしのほうに向けられていた質問は、最後は蓮くんとの問答になっていた。
情けないことに、蓮くんの知識のほうがはるかに整理されて理解度が深く、表現は正確だった。

…わたしも政治経済の授業受けてるんだけどな。公民しか習っていない蓮くんに、完全に抜かされている。
聞き役に回りながら自分に呆れてしまう。

とりあえず、導力も竜の血族も存在しない世界、というのがアルミナリアの人々にはうまく想像できないようだった。

凡夫だけが暮らす、凡庸な世界…に思えるのか。
魔法も使えないし竜もいないけど、わたしたちは科学技術を発達させて、電気を使いこなし、宇宙にだって行ってるぞ…という言葉はもちろん口の中で飲み込んだ。

聴取の合間には食事も出て、隣の小部屋で食べさせてもらった。牢屋で出されたよりずっと上等で量も多かった。
終わる頃には緊張と疲労が押し寄せて虚脱状態に陥っていた。しかし、矢面に立っていた蓮くんはもっと疲れたはずだ。

聴取の後は幸い牢屋に戻されることなく、連れられたのはとある部屋だった。
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