翔んでアルミナリア

壮麗かつ巨大な白亜の宮殿は、正式名称をアッド・シャルタラといい、アルミナリアの古い言葉で “輝ける曙光" という意味を持つ———と蓮くんが考えた。
わたしが見るところ、オリンポス神殿とベルサイユ宮殿とタージマハルあたりを足して三で割ったような様式だ。
古今と東西がブレンドされているというか。

「敷地がどこまであって、建物がどこまで広がってどう繋がってるのか、全然分かんないや」
航空写真でもないと掴めそうもない。

「不測の事態に備えて、わざと設計を複雑にしてるっていうのもあるんだ」
と隣に座る創造主が説明してくれる。
「単純な構造だと攻略されやすいからな。秘密の回廊とか敵襲に備えた仕掛けも多い…っていう設定にしてる」

「なーるほど」
方向音痴の身としては、後宮から東の大楼門にたどり着くまでに迷子になりそうになる。