翔んでアルミナリア
とはいえ交換条件はあっさりしたもので、「一緒に夏祭りに行こう」だった。
それくらいならお安い御用、と難題の解決を鼻先にぶら下げられたわたしは、一も二もなく承諾した。

もしも、その後に起こることを知っていたら、わたしはどう答えただろうか。
わからない。誰にも未来のことを知りうることはできないのだから。

夏休みのある日、半日かけてわたしは蓮くんに課題をみっちり教わり、というか解いてもらい、その答えを丸写しした。
ちなみに全部完璧に解けていると逆に怪しいということで、ところどころわざと間違えておくという凝りようだ。

肩の荷を下ろして、約束の夏祭りの日を迎えたというわけである。

身長も学力も、三歳年下の少年に抜かれてしまった。この先も差は広がり続けるだろう。
ちくりと傷つくプライドと、彼の想いに応えられない申し訳なさが、胸を交錯する。

隣を歩く彼は、なにを思うのか———
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