翔んでアルミナリア
「俺の名前の由来、になった言葉。蓮は汚い泥の中から美しい花を咲かせるから。凛と清らかな生き方をしてほしい…みたいな意味がこめられてるらしい」

「なるほど」
素敵な意味だな。

「個人的にはビミョー」
どこか白けた表情だ。

「なんで?」

「汚いと清いで分けるところが。単純な善悪二元論にくくってる感じで。世界は汚くて自分は清い…って思い上がりに聞こえない?」

「んー、賀月(かづき)(れん)って綺麗な名前だし、合ってると思うよ」
やんわりとそう言うにとどめた。

わたしはといえば、自分の名前の由来をそれなりに気に入っている。
日下(くさか)実花子。日の光の(もと)で、実を結び花を咲かせるように、多くの人に愛されて育ってほしい。そんな両親の願いがこめられている。

「なんか、開いてる花少ないね」
ふと気づいて口にする。蕾のように閉じている花のほうがずっと多い。

「蓮は朝早い時間に開花するんだ。で、昼前にはもう閉じちゃう」

「よく知ってるね」
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