翔んでアルミナリア
第3章/神の遺産
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昼休みが終わって後宮に戻ると、エレオノア姫あての新しい刺繍糸の箱が届いていた。
箱を持って、パンバと専用の小部屋に向かう。
「姫様がお望みのものがあると、陛下は帝国中から集めてしまわれる勢いでいらっしゃるから。でもいつも『なにもございません』だと陛下も張り合いがないでしょう。だから姫様はときおり小さなお願いをされるの。こういう刺繍糸みたいな」
しゃべりながら、パンバが部屋のドアを開ける。
以前一度のぞかせてもらったことがある、エレオノア姫の手芸道具を収めている部屋だ。
壁にそって、細かい仕切りや小さな抽斗のある棚が作り付けられている。
糸巻きに巻かれた色とりどりの糸がずらりと収められている様は、圧巻だった。
赤・青・黄色のように大まかに色の系統で分けられているので、新しい糸を箱から空いている仕切りに収めていく。
姫君はこの部屋の材料を使って手芸を嗜むのを日課とされている。
陛下は、エレオノア姫が縁をかがってイニシャルを刺繍したハンカチを常に持ち歩いているという。
衣装部屋には、これまたエレオノア姫が花を乾燥させて作った匂い袋を欠かさないというし、そんなエピソードは愛情の形としてはまともに思えるのだけど。
昼休みが終わって後宮に戻ると、エレオノア姫あての新しい刺繍糸の箱が届いていた。
箱を持って、パンバと専用の小部屋に向かう。
「姫様がお望みのものがあると、陛下は帝国中から集めてしまわれる勢いでいらっしゃるから。でもいつも『なにもございません』だと陛下も張り合いがないでしょう。だから姫様はときおり小さなお願いをされるの。こういう刺繍糸みたいな」
しゃべりながら、パンバが部屋のドアを開ける。
以前一度のぞかせてもらったことがある、エレオノア姫の手芸道具を収めている部屋だ。
壁にそって、細かい仕切りや小さな抽斗のある棚が作り付けられている。
糸巻きに巻かれた色とりどりの糸がずらりと収められている様は、圧巻だった。
赤・青・黄色のように大まかに色の系統で分けられているので、新しい糸を箱から空いている仕切りに収めていく。
姫君はこの部屋の材料を使って手芸を嗜むのを日課とされている。
陛下は、エレオノア姫が縁をかがってイニシャルを刺繍したハンカチを常に持ち歩いているという。
衣装部屋には、これまたエレオノア姫が花を乾燥させて作った匂い袋を欠かさないというし、そんなエピソードは愛情の形としてはまともに思えるのだけど。