翔んでアルミナリア
「知っているかは分からないけど、二人が知っていると推察するだけの根拠はあったんだろうな。そうでもないと、こんな暴挙には出ないだろう。やっていることは、はっきりと国家反逆罪だ」
神の遺産を探すために、幼い王子を誘拐———
「でも、王子が誘拐されてから、もう二ヶ月くらいたってるんだよね?」
それだけ時間があれば、とっくに見つけているのではあるまいか。
「とりあえず、王子も皇弟も行方が分からないままだ。分かったことって、姫様が泣いていた理由くらいだな」
「そうだね…」
最愛の弟が行方知れず。ことは帝国を揺るがしかねない事態とあれば、ひとりで泣きたくもなるだろう。
それでも、わたしたち宮女の前では常と変わらず振舞っている姫様の気丈さに、あらためて胸が痛んだ。
「母親が違うとはいえ、皇帝も自分の弟だ。なるべく内々にことをすませたいと思ってるみたいだけど」
「蓮くんが言っていた内乱って、皇帝の弟のことだったんだね」
ひとまず合点がいった。
「獅子身中の虫ってやつだな」
蓮くんがさらりと小難しい言葉を口にする。
神の遺産を探すために、幼い王子を誘拐———
「でも、王子が誘拐されてから、もう二ヶ月くらいたってるんだよね?」
それだけ時間があれば、とっくに見つけているのではあるまいか。
「とりあえず、王子も皇弟も行方が分からないままだ。分かったことって、姫様が泣いていた理由くらいだな」
「そうだね…」
最愛の弟が行方知れず。ことは帝国を揺るがしかねない事態とあれば、ひとりで泣きたくもなるだろう。
それでも、わたしたち宮女の前では常と変わらず振舞っている姫様の気丈さに、あらためて胸が痛んだ。
「母親が違うとはいえ、皇帝も自分の弟だ。なるべく内々にことをすませたいと思ってるみたいだけど」
「蓮くんが言っていた内乱って、皇帝の弟のことだったんだね」
ひとまず合点がいった。
「獅子身中の虫ってやつだな」
蓮くんがさらりと小難しい言葉を口にする。