翔んでアルミナリア



創世神である竜が遺した鱗は、姿を変え世界のどこかに隠されている。
叡智と勇気をもって神の遺産を見つけ出した者は、願いを叶えることができるという。
それが、神の遺産。

本当に存在するのか、蓮くんでさえ確信がないという。
あるとしても、どこにあるのか見当がつかない。なぜならまだそこまで考えていなかったから。

内乱の火種になっているみたいだけど、所詮わたしたちは見習い宮女と導師の弟子だ。

姫様の弟が無事に戻ってくることを願うことしかできない———そう思っていた。

“呼び出し” は夜だった。
蓮くんと内乱の話をした数日後だ。
いつものように後宮の賄い処でパンバと夕飯を食べて、共同の浴場で体を流した。

自分の部屋に戻って、蓮くんに手紙でも書こうかと小さな机に向かっていると、ドアがコンコンとノックされた。

誰だろう? 立ち上がって数歩歩くともうドアなので、覗き穴に目を近づける。

そこに立っていたのは、ひとりの兵士だった。
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