翔んでアルミナリア
「そもそもカリンガの宝とは、具体的に何なのでしょうか?」
ホーグランドが疑問を投げかける。

「わたしも見たことはございません。王家の子女は、十歳になると隠されている場所だけを教えられるのです。おそらく皇弟殿下は、我が弟からその隠し場所を聞き出そうとしているのでしょう」
青ざめた表情でエレオノア姫が口にする。

「ならばうかうかしている場合ではありますまい。我々も一刻も早く先んじねば」
ゲッペルが浮き足立つ。

「ですがそれは、口で説明できるところにはございません。その隠し場所は、ただ日と月の巡りだけが知っているのです」

煙に巻くようなエレオノア姫の言葉に、座が沈黙に包まれる。

「実際に行ってみなければ分からないということだ。それも機会は一年に二回だけ」

補足するようにリュシウス帝が言葉を添え、エレオノア姫が無言でうなずく。

「ちなみにその時期が、あと二十日ほどに迫っている。隠されている場所は辺境の地バルバンダだ。おそらくリラン一味もその場所を目指すはずだ」
リュシウス帝が続ける。
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