翔んでアルミナリア
「追っ手を差し向けねば」
ホーグランドが声に力をこめる。

「当然だ。が、人員は絞る」

皇帝の言葉は当然だろう。もしもバルバンダに隠されているのが神の遺産なら、他の者の手に渡すわけにはいかない。願いを叶えてくれるアイテムなのだから。

ということは…

「私が行く」
リュシウス帝が宣言する。

「陛下御自ら…」
ゲッペルが当惑したような声を出す。

「それしかあるまい。同行はエストライヘル師とセレマイヤ師とエレオノアだ。随身はなるべく人目を引かぬよう、最小人数で」

「たしかにことが神の遺産に関わることであれば、陛下が足を運ばれるもやむなしでありましょう」
重い息とともにホーグランドが言葉を吐く。
「護衛はまず口の固いものを。そして腕の立つものを揃えましょう」

「そしてあの子どもらも連れてゆく」

リュシウス帝の突然の台詞に、壁際で聞き耳を立てていたわたしと蓮くんの背がびくんと跳ねる。
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