翔んでアルミナリア
バルバンダに入境する際には、丸一日を費やして装備・物資の補給、随員の再編が行われた。

人員は三分の一ほどに絞られた。ここから先は、物資と馬の補給を受けられる見込みはほぼ無い。
加えて、皇弟一行との攻防にも備えなくてはならない。

人目につきにくく、小回りがきくように、人員は少ないほうが望ましいのだ。

物資の軽量化と飲料水の確保の両立には、百戦錬磨の騎兵隊長ホーグランドも頭を悩ませた。
荷を軽くするには、水分を除くのが手っ取り早いからだ。だけれど乾燥地帯では、水は命の次に大切だ。
水場を見つけられる可能性も含めて、持ち込む水の量は慎重に計算された。

…と、このへんの話は、蓮くんからの情報だ。

ちなみにわたしに与えられた物資は、革の靴が一足と、着替えが二組、寝袋一つ、水袋一つ、だった。
私物といえるのは、蓮くんがくれた蓮の花を乾燥させて作った匂い袋だけだ。

これだけはこっそりポケットに忍ばせた。ほんの数グラムなら馬の負担にもならないだろう。
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