綺桜の舞う
1.夜桜再来
『夜桜疾走について』


2年前、裏の世界を揺るがすような大きな抗争があった。
世界一強いと言われる夜桜と、名も知られないような小さく、弱い族の同盟軍による抗争。


始まりは、どこかの族の下っ端が命令も受けずに夜桜を襲撃した事と言われている。
戦禍は徐々に広がり、夜桜400の軍勢に対し、連合軍は2000人余り。


その抗争が終わりを告げた日は、それから10日後。
唐突にその日は訪れ、誰もかもが、状況がわからないまま、抗争は終わった。


勝ちも、負けすらも、この抗争の意味すらも、何もわからない。


ただ一つ、事実として残ったのは、夜桜が表舞台から姿を消したことだった。









『どっかの下っ端が夜桜の総長とタイマンはって勝ったんだろ?』
『夜桜のメンバーに裏切り者がいたらしいけどな』
『世界一を剥奪されるぐらいなら英雄のまま消える、ってことじゃね?』
『仲間を守るための退陣なら、総長としては英雄だな』


『───』
『───』





『夜桜が帰ってきたらしい』
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