綺桜の舞う
3.日常の崩壊
「起きろ」
「……無理ぃ」
「起きないとそろそろ間に合わない」
「うーん……」


布団の中でモゾモゾする美少年。
困るぐらいに寝起きが悪い。


俺はそんな寝起きの悪い男を抱き起こすと、ほっぺたをペチペチ触る。


「ほら、起きろ」
「みーにゃん強引すぎだよ……」


目を擦りながら、抱き枕を抱きしめて目を開くのは、陽向。
毎朝俺が起こして、学校へ登校。
おかげで俺の朝は非常に早い。



まぁ。それ以外の理由もあることにはあるけど。



「陽向。ほら、制服着ろよ」
「もうやだ……学校行きたくない」


今日の陽向は機嫌が悪い。
それはもう、いつもの何十倍ってレベル。
普段なら5分くらいしたら、フラフラしながらも歩き出すけど、今日に限っては、パタリ、とまたベッドの中に逆戻り。


「叶奏ちゃんが暴走族とか聞いてないぃ……」


……朝から大号泣。


「……泣くなよ」
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