綺桜の舞う
「生きる意味があったら死ななくていいわけじゃん。
君が生きる理由は今まで誰かを守ってたから、な訳なんでしょ?
それなら俺たちのこと守って?ついでに俺らの居場所も。なんなら俺らの居場所を君の帰る場所にしてくれていいよ?」


なかなか、頭のおかしいことを言ったな、って自分でも思った。
殺されかねない提案に、案の定表情を歪める。


「……お前、危ないやつなの?」
「なんで?」
「僕がどこかの族のやつかもしれないじゃん」
「入ってないって言ったじゃん」
「……そうだけどさ」


はぁっと、ため息をついたのは向こう。
呆れた顔、上目がちに俺を見る。


「約束、僕のこと詮索しない」
「うん」
「昔のこと聞かない」
「うん」
「朝、起こしに来る」
「うん。……ん?」
「僕こう見えても一人暮らしの高校生なの、実家暮らしの中学生じゃないから。
起きれなくて困ってるから。起こして」


まともな時間に学校行けたことない、と呟くこいつにあっと合点がいく。
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