綺桜の舞う
18.お姫様の風格
「夜桜の人間が数人特定されて、南町で襲撃された。
叶奏叩き起こして行ってくる」


深刻な顔をしてそういう雪兎は扉の前に立つと、足元のいくつも並んだ通気口の蓋の一つを開けて何かボタンを押す。
……ドアの鍵が開く音。
え、外から開くの?
それあり?


「叶奏。起きて。
襲撃された」
「……どこで」


寝起きの低くて細い声が聞こえる。
それでも瞬時に返事ができるところを見たらしっかり総長している。


「南町」
「……待ち伏せされてるかもだから、雪兎はいい。
今、綺龍メンツ誰が空いてる?」
「伊織くんと上に陽向くんがいる」
「ん。じゃあ私と伊織くんが行くから。3分で出る。準備してもらって」
「わかった」


振り返る雪兎。


「そういうことだから。準備できる?」
「あ、うん。全然行く〜」


既に病院に連れて行かれたってことだから、病院の詳しい住所を聞いて、上に上がる。
パタパタと駆け上がってくるのは叶奏ちゃん。
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