綺桜の舞う
俺は電話を切って、部屋に戻る。
俺の部屋で、勉強していた叶奏のために外で電話してたわけだけど、結果オーライだったかもしれない。


「ねね、湊くん、これわかんない」
「ん?どれ?」


叶奏が真面目に勉強してる時の集中力と間食の量は半端ない。
これ以上ないまでに頭を使うのかよく食べる。
おかげでちょっと体重が増えたらしい。


この前また登校中にバイクですっ転んで、雪兎に鍵を回収されて、それからは俺の後ろでずっと公式を魔法陣展開してるみたいに詠唱してるわけだけど、まぁ、結果的にはそれも良かったんじゃないかと。


これだけ頑張っている叶奏にこれ以上心配事を増やすのは精神的も肉体的にももう無理だろう。
テストが終わったあと、夕が怪我したことを言ったら絶対死ぬほど怒られるんだろうけど、そこはもう我慢だ。三発ぐらい殴られる覚悟はしてる。
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