綺桜の舞う
21.マリンブルー
「海、久々だ〜……」
「俺は初めてかも」


夏休み。海。
無事に叶奏の補習は回避、どころかほぼ全ての教科が特進科を凌いで上位20番以内に入って、先生にカンニング疑われて再検査までした。
とりあえず、伊織はどうにもならなかったけど、持ち前の不良さでしっかり補習はばっくれ。


現在、家から2時間半、ついた浜辺には誰1人としていない。
そして背後を通り過ぎていくリムジンの奥にはバカでかい別荘。


……今日から1週間、俺たちが泊めてもらう叶奏の家の別荘。


どうやら、叶奏の実家はびっくりするくらいお金持ちらしくて。
お泊まりにこの別荘を使いたい旨を叶奏の親御さんに伝えに行った時、まぁバイクがない叶奏を送り届けたわけなんだけど。


びっくりするくらい大きな門に、高そうなインターフォンの音。出てくれたのはご両親のどちらでもなくお手伝いさん。


自動で開いた門の奥には西洋貴族の家みたいに玄関が遠くて、両サイドには丁寧な整備が行き届いた庭。
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