綺桜の舞う
と。


「みーにゃんっ」


ガチャっと勢いよく扉が開いて、陽向の声が聞こえて。
バタンっと扉が閉まった。


「……残念だったな。昼間はみんな起きてんだよ」
「絶対沙彩といちゃついてると思ってたのに……」


不安そうな顔のまま俺の腕を引くから、俺は叶奏を起こす。
渋々、部屋の扉を開けると陽向が部屋の前で座り込んでいた。


「……ごめんなさい」
「いいよ、どした」
「あの、蛍ちゃんが、成いなくて泣いてる」
「は?」
「また朔くんと喧嘩したらしくて、いつもなら成に聞いてもらってたのに、今日はいなくて余計に泣いてる」


今は沙彩ちゃんのお部屋、という陽向に従って2人で有村の部屋に。


「蛍?またケンカしたの?」


部屋に入ってすぐベッドに座り込む蛍の前にしゃがみ込んで顔を覗き込む叶奏。
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