綺桜の舞う
「蛍……朔に、悪いことした」
「うん、なにしちゃった？」
「朔が、浮気するから」
「うん」
「スマホ叩き割っちゃて……ごめんなさいって言ったら、いいよって言われて……優しいのが、罪悪感で……逃げちゃった」


鼻をずるずるとすすりながら、そんなことを言う。
……ケンカじゃないじゃん。


「朔のスマホなんか、いつもわってるじゃん。なんで今日は急に？」
「……蛍の、勘違いだったから」
「勘違い？」
「相手、知らない女の子だと思ってたら、うちのクラスの男の子だった」
「……それは蛍が悪いね。ごめんなさい行こ？」
「もう朔……許してくれないかも、しれない」
「そう言って毎回許してくれてるでしょ？蛍は朔と仲直りしたくないの？」
「……したい」
「じゃあ朔のお部屋行こ？私も一緒に行ってあげるから、ちゃんとごめんなさいね？」
「うん」
「なにしてごめんなさい？」
「勘違いして、スマホ叩き割っちゃって、ごめんなさい」
「ん、それ言えばいいよ。行こう？」
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