綺桜の舞う
軽いカウンセリングみたいな、もはや誘導尋問のような、一連の流れを終えて2人は朔の部屋に向かって行った。


「あの2人よく喧嘩するねぇ」


有村は、しみじみとそう言いながらアイスを食べる。
ベッドの上に小さく座り込んで、スマホをガン見。


「仲悪いの?」
「どうなんだろ。少なくとも四六時中一緒にいるし、結構ストレス溜まるんじゃない?」


朔は家でも普通に女の子と連絡取るだろうし、と誰かと連絡をとっているらしく、フリック操作が見える。


「四六時中って……」
「だって蛍、朔の家にもう2年は泊まりっぱなしだよ。家帰ってないんじゃない?」
「へ?それ大丈夫なの?」
「まぁ、蛍は親が離婚して、母親とその再婚相手と暮らしてたからね。新しいパパさんがなかなか陰湿な児童虐待かましてたから、蛍が家帰れなくなったんだよ」


そんなことを、普通に言っていいのか?
他人の家庭事情なんかごめんなさいで済まない話だと思うんだけども。
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