綺桜の舞う
俺は部屋を出て、自分の部屋に戻る。
可愛すぎるところ、ねぇ。


『ねね、かわいい?』


脳裏に普段からテンションの高い、彼女が浮かぶ。
陽向の言うことは本当にご最もだなと。
可愛いよ、ほんとに。うざいぐらい。


「湊くん、ただいま」


いつものごとく、テンションの高いお出まし。
俺の隣に立って、ニコニコと話を始める。


「ちゃんと仲直りしたよ」
「そ、よかった」
「うん、ほんと人騒がせだよね〜……って、えっ、」


ニコニコと話し始めようとする叶奏を、いきなり押し倒したのは俺。


「み、湊くん?」
「やっぱりシたくなったから」
「へ……え?え?」
「ん、まぁ、ちょっとくらい現実忘れて俺のことだけ見ててもらって」


可愛すぎるのが悪いって言い訳は、ここでなら通用する気がする。
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