綺桜の舞う
温度のない言葉が、やけに刺さる。
フラフラと近づく白髪に、一番最初に白髪がしたように一瞬で間合いを詰めたのは叶奏。
そして、鳩尾に拳を一発、脇腹に回し蹴り、倒れた白髪の肋に容赦なく、3発。


……人の感情を捨てさせたのは、あの男か、それとも。


「私は、仲間を傷つけるような方、愛せません」


俺たちか。


それとも───


戦いは終わった。
総長が立ち上がらなくなったからだ。


「それでは約束どおり、私たちからは手を引いてください。あなたたちの力では私たちには、勝てません」


無表情に倒れた総長を見下ろす、未だ二階にいる白髪の女。


「帰ろ、ね?」


優しく笑う叶奏。
いつもの笑顔、いつもの声色。
叶奏だ。
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