綺桜の舞う
帰ってきたときにまた部屋に行ったら机の上にぽんってね。
俺らより2個も上。


「んー……あー……怒んない?」
「怒んないよ?怒んないし、言われたくなかったら誰にも言わない」
「そっか、えっとね。
一昨年と、その前の年の2年ね。僕勉強しなさすぎてダブったんだよね。
入学した時は特進だったんだけど、ダブったから普通科に落とされて、あれって気づいたら、いおりんたちと同じように1年してた」


それだけだよ、と陽向。
別にそれだけでも、それだけじゃなくても、詮索はしないけれど。


「沙彩ちゃんは知ってんの?」
「まぁね、昔付き合ってたから」


興味は、湧いてしまう。


「……陽向ってさ」




でも投げかけようとした質問は、


「詮索、しないって約束だよね。破ったら潰すって」


陽向の攻撃的な言葉と殺気にかき消された。


「……あーら、ごめん。ついうっかり」
「ダメだよ、いおりん。約束は守ってね?」
「大丈夫だよ」
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