綺桜の舞う
「……夕、ああ見えてよく話すようになったんですよ。昔は話しかけても全然話してくれなくて」
「当初は俺たちもそうだったよ」
「ですよね、ほんと……ずっと1人の世界で生きてて拒絶されるのが怖いからって先に自分が周りを拒絶するんです」
ちょうど、出会った頃が叶奏ちゃんの記憶がなくなった頃なので、と薄く笑うあんずちゃん。
2年を忘れたことで、夕との思い出も例外なく消えた。
それが夕はトラウマなわけだ。
自分が他人から忘れられる恐怖を、疑似ながらも体験してしまったから。
「……あんずちゃんは、夕のこと好き?」
「それいろんな人に聞かれるんですけど……。
仲間としては、だいぶ仲良い方だと思います。
それが恋愛的な好き、に発展するかって言われたらとりあえず、今は違います」
はっきりそう言って立ち上がる。
「伊織さんも海入りましょうよ。せっかく水着ですよ?」
「俺もって、あんずちゃん水着じゃないじゃん」
「いいんですよ、ちょっとくらい濡れたって。
水浸しになったらちょっとは怒られますけど」
「当初は俺たちもそうだったよ」
「ですよね、ほんと……ずっと1人の世界で生きてて拒絶されるのが怖いからって先に自分が周りを拒絶するんです」
ちょうど、出会った頃が叶奏ちゃんの記憶がなくなった頃なので、と薄く笑うあんずちゃん。
2年を忘れたことで、夕との思い出も例外なく消えた。
それが夕はトラウマなわけだ。
自分が他人から忘れられる恐怖を、疑似ながらも体験してしまったから。
「……あんずちゃんは、夕のこと好き?」
「それいろんな人に聞かれるんですけど……。
仲間としては、だいぶ仲良い方だと思います。
それが恋愛的な好き、に発展するかって言われたらとりあえず、今は違います」
はっきりそう言って立ち上がる。
「伊織さんも海入りましょうよ。せっかく水着ですよ?」
「俺もって、あんずちゃん水着じゃないじゃん」
「いいんですよ、ちょっとくらい濡れたって。
水浸しになったらちょっとは怒られますけど」