綺桜の舞う
いいじゃないですか、と俺の腕を引くあんずちゃん。


だいぶ元気なキャラが、叶奏ちゃんが可愛がってるんだろうなって思わせる。
俺は渋々、上着を脱いで、砂浜に捨てるとあんずちゃんにされるがままに海の方へ歩く。


「わっ」


びっちゃびちゃに水をかけられる。


「えへへ、もう濡れちゃいましたからね」


ニコニコなあんずちゃん。
しかしまぁ、普通に服なあんずちゃんに水なんてかけようものなら、白い服から絶対下着が透ける。
やり返しはできない。
……男としては見たいけど、人としてはだいぶ問題ある行為をすることになる。


……ふぅ、落ち着け、俺。


「伊織さん?」


不思議そうな顔で水をジャバジャバかけてくるては止めない。
……いや、可愛いけども。


「……あ、」


水が引く。
さっきよりいい勢いで。


そして、しばらくして。


「わっ、きゃ」


膝近くまでしっかり水に浸かった足元のおぼつかないあんずちゃんは荒い波にさらわれて流されていった。
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