綺桜の舞う
……あーあ、あれはもう、大事故だ。


俺は流されたあんずちゃんのもとに泳いで行って、ビーチに連れ帰る。


「しょっぱいですね」
「海だからね〜」


俺はあんずちゃんをビーチに下ろす。
案の定。


「んー。水色」
「へ?……あっ、み、見ないでくださいっ」


あんずちゃんが悪いと思うよ?


なんてことは言わないけど、実際そうだと思う。


俺は自分の羽織を手に取って、あんずちゃんに渡してあげる、なんて紳士的な行動をしながらも、恥ずかしがるあんずちゃんの顔をガン見。可愛い。


「ん、着ときな?1回別荘戻って着替えよ」
「……ありがとうございます」


顔を赤くして、俺を上目がちに見つめるあんずちゃん。
いやぁ、ほんと。


「エロいね」
「なっ、伊織さん!?」


割とこの子、本当に好きかもしれない。
純粋で、素直で、すぐ顔が赤くなる。


「……フード絞ってください」


むすっとした顔で俺に背中を向けるあんずちゃん。
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