綺桜の舞う
……湊にもバレなかったんだけど、鼻いいな。
まぁでも、最近本数増えてたし、バレるのも時間の問題だったかな。


「おかえりなさいませ、伊織様、あんず様」
「あっ、渡辺さん、あの……恐縮なんですけど、お洋服、あったりしますか?」
「少々お待ちください。叶奏様のお洋服をお持ちします」
「あっ、本当にすみませんっ」


別荘に戻って、深々と頭を下げるあんずちゃんを見ながら、俺はバルコニーの方を見る。
昨日空いてなかった窓が空いてるのは、叶奏ちゃんが出たからか。


そういえば、部屋にもバルコニーとかあったな。
俺は山方面に窓がついてるわけだけど、叶奏ちゃんとか湊の方は海が見えんだよね、きっと。


「あんずちゃん、今日は帰るの?」
「え、あ、はい。あのお城に帰ります」
「何その言い方、かっこいい」
「割とみんな言ってますよ?」
「へぇ〜、あんずちゃんはあそこに住んでるの?」
「私はちゃんとお家に帰ってますよ?
今は親との関係が良いので」
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