綺桜の舞う
「……伊織さん、渡辺さんの趣味どうかしてませんか?」
「知らないよ〜。叶奏ちゃんの服だからそんな趣味悪いことないと思うんだけど」
「……単純にここまで露出して世界は悲鳴を上げないか不安なんですけど」


……この子は一体、なにを言ってるんだろうか。


「もう着替えたの?」
「は、まぁ……」


俺はその言葉を聞いて、じゃあ大丈夫だろう、と起き上がって躊躇いなく脱衣所を開ける。


「あっ、ちょ……えっ?」
「なんで抑えるの」
「な、だって普通覗くとかなくないですか?」
「でも着替えたんでしょ?どうせ出てくるんだから俺が開けたって一緒だよ」


俺は強引にドアを開ける。


と。


「ふーん、可愛いね」
「……っ、なんか、ワンピースってソワソワします」
「スカートだってショーパンだって履いてたじゃん」
「なんか、下から上まで風が抜ける感じが、不安になるというか……」



青色のオフショルワンピ。膝上10センチのふわふわスカートに、ひらひらしたスリーブ。
叶奏ちゃんっぽい。
少なくとも渡辺さんがどうかしていると、そんな言い草される筋合いは無いと思う。
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