綺桜の舞う
◇ ◇ ◇





朝目を覚ますと当たり前に叶奏は隣で寝ていて、いつもは俺の腕の中にいるのに今日は仰向けで寝返り打たなかったんだろうなって思う体勢。


俺はスマホを手に取って時間を確認する。
……11時、か。
朝食の時間は過ぎている。
多分伊織たちは気を使って起こさなかったんだと思うんだけど……。
単純に俺はお腹空いてる。
薬も飲まなきゃいけないし、何か食べなきゃな……。


「……湊くん、」


動き出した俺に目を開いてしまった叶奏。


「ごめん、起こした?」
「ん……どこいくの?」
「なんか食べなきゃって思って。薬飲まないと……」
「あぁ……ご飯食べにいく?」
「叶奏もなんか食べたいよな……動ける?」
「……うん」


バサっといつもみたいに起き上がる叶奏。
……回復力がエグい。


「わりと動けるかも」


我慢してる様子もないし、服をめくってみても、炎症を起こしていそうなところもない。
熱も出ていなさそうだし……大丈夫、か。
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